「手描き友禅染」
所説諸々ありますが、
今から300年以上前に出版された
雛形の本に
沢山の模様染の名前と
「友禅染」という言葉、
そして
「友禅斎」という名前が載っています。
友禅斎とは京都に住んでいた扇絵師である
宮崎友禅斎という人物のことで、
彼が色んな染色をを応用して生まれたのが
友禅染のはじまりです。
友禅染の種類はたくさんありますが、
そのなかで「手描き友禅染」は
最初から最後まで手作業で糊を用いて
染め分けが出来ることから
様々な表現が可能です。
友禅染の作業工程
1図案/下絵
雛形と呼ばれるパターン図に図柄を描き、
それを参考に青花と呼ばれる露草の一種である
植物から取れた液体で白生地に下絵を描いていきます。
2糊置き
染める際に色と色を染め分ける防波堤を
下絵の線に沿ってゴム糊と呼ばれる
天然ゴムと板ゴム、ゴム揮発油を主原料とした糊を
渋紙で出来た筒を用いて置いていきます。
3糊伏せ
先に地色(背景の色)を染めるため柄のところだけ、
もち米と米糠が主原料の伏せ糊で伏せていきます。
この糊がマスキングの役割をすることで
背景と柄の染め分けが可能になります。
4地入れ/引染め
生地を部屋の端から端まで引っ張り、
染料の発色や浸透の速度遅くするために
海藻ふのりや
豆汁を刷毛を使って右から左へ
均一になるよう生地に塗布し、
乾いたあと
地色を染めるために染料に刷毛をつけて
地入れと同じ要領で染めます。
5挿し友禅
地色を染めたら蒸し機で生地を蒸して色を
定着させ、
染めきれなかった余分な染料を
水元という水槽の中で
反物を洗い流す
工程を行います。
そして水元を終えたら再び地入れをして
挿し友禅の工程へ進みます。
柄を染める挿し友禅では染料の原色から
混ぜ合わせ、
予め使う色を作っておきます。
基本的に一色につき筆(または刷毛)一本を
使用します。
6金彩/刺繍
挿し友禅ができた後再び蒸し機で生地を
蒸すことによって
色を定着させ、
水元で褒めきれなかった染料を洗い流し、
揮発水洗で色と色が混ざらないように
防波堤の役割をしていたゴム糊を洗い流します。
そして金彩や刺繍により金箔や砂子などを使って
柄を際立たせていきます。
完成
今回は大きく6つの工程に分けましたが、
本来、手描き友禅染で染める場合は
20以上もの工程があります。
美しく「染める」という行為のために
手間を惜しまないのが
手描き友禅染です。
興味を持たれた方は是非お手に取ってみてください。